言葉と心

「語彙力」は難しい言葉ですが、「どれだけ多くの言葉を知っているか?」という能力、または、「どれだけ言葉を使いこなせるか?」という能力と書くと少しイメージがしやすくなるかと思います。

子どもたちは3歳頃から、言いたいことをある程度言葉で表現することができるようになると言われています。一方で、このぐらいの子どもたちは、体験してきたことや言葉の数が大人と比べて少ないため、自分の言いたいことをうまく表現できないことのほうが多いです。そんなときに子どもたちが言いたいことを「こういうことかな?」と大人がすくい上げて、言葉を使ってみせてあげると、子どもたちは「このときにはこんな風に言えば良いのか」と言葉を覚えて使えるようになっていきます。

身の回りで起きた出来事だけではなくて、「自分が感じている気持ちをどんな言葉で表現したら良いのか?」も大人がすくい上げて、言葉を使って表してあげると、子どもたちの気持ちと言葉がリンクして、次に同じような気持ちになったときに、自分の心の中を言葉で表現できるようになります。

子どもたちが成長し、言葉が増えてきていろいろな気持ちを感じたり、もっと多くの経験をするようになったときに、「やばい」、「それな」のような【何でも使える】一言で片付けてしまうと、せっかくの経験や気持ちを言葉にする機会をなくしてしまいます。【何でも使える】一言は「ある意味」便利な言葉なのですが、子どもの育ちを考えると「もったいないなぁ」と感じてしまうのです。

「語彙力の低い人は感情をコントロールする力が低い」という話があります。自分がイライラしたり興奮しているときに、頭の中や心の中で言葉に置き換えることが出来ず、感情や興奮をそのまま行動にしてしまう、というのがその理由だそうです。本当か嘘かは定かではありませんが、「なるほど、一理あるなぁ」と妙に納得してしまいました。

言葉を覚えるためだけに本を読んだりする必要はないと思います。「本が好きだから読む」とか「友だちと話をするのが好きだから話をする」とかでも良いと思います。子どもたちの「やってみたい」に沿った日常の何気ない生活の中でたくさんの経験ができるようにしたり、たくさんの種類の言葉に触れる事ができるようにしたら、自然と言葉の数や使いこなし方を身に着けていくのだと思います。その結果、自分や他人の心の動きを感じ取って表現し、心を豊かにしていけるようになるのだと思います。

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