子どもの「体のおかしさ」を減らすためには
先日研修で日本体育大学の野井真吾先生の講演を聞いてきました。
「コロナ禍で考える子どもの心と体」という主題でした。その中でも最近の子ども達の「体がなにか変」ということに対する提案が非常に面白かったので少しだけ紹介します。
最近「すぐ疲れた」「じっとしていない」「朝、元気がない」、「うつ傾向」という子ども達が全国的に増えています。これにはどんな原因があるのだろうか、どうすればその状況を改善できるのだろうか?という視点で様々な研究を行ってきました。その答えとして「光・暗闇・外遊び」が良いという提案でした。
子ども達が夜十分に眠れていないことから、朝になってもスッキリ目が覚めず、体が十分に休めていない状態で日中の活動をしても、ボーッとしていたりやる気が出なかったり、逆に集中できずにイライラしてしまったり、じっとしていられなかったりするのではないか?という仮説を立てました。
では「どうすれば夜ぐっすり寝て、十分な睡眠が取れるのか?」を科学的に考えてみました。すると睡眠導入ホルモンと言われる「メラトニン」の量に違いがあることがわかりました。
例えば小学校の教室で窓際(太陽の光をたくさん浴びる)子どもと廊下側(太陽の光をあまり浴びない)子どもとでは、窓際の席の子どものほうがメラトニンの量が多いことがわかりました。
コロナ禍で外出ができない時期が増えてきたため、外に出ることができなくなった子ども達は、十分にメラトニンが出ていない可能性が高くなっていると考えられます。
メラトニンは精神を安定させ体内時計や睡眠を調整し、イライラやネガティブ思考を軽減させるホルモンである「セロトニン」を作り出すためにとても大切なホルモンです。子ども達がイライラしたり、じっとしていられなかったり、うつ傾向になるのであれば、セロトニンを増やせるようにすることが大切ですが、そのためにはメラトニンをしっかり作ることが大切になります。
テレビやタブレットの光を夜にたくさん浴びてしまうと、体が「今は明るい昼なのだ」と誤解してしまい、夜眠ることを邪魔してしまいます。夜は室内の明かりを薄暗くして、テレビなどから受ける光も減らすことで、夜の眠りが改善していくことも分かっています。
日中に太陽の光を浴びて、適度な身体活動を行い、規則的な食事を取り、時間を意識した生活をして、夜になったら暗くすることで、メラトニンの量を増やすことが、子ども達の体のおかしさを改善することがわかりました。
そのために、外遊びの時間をしっかり取ることはとても大切です。太陽の光を浴びて、体を十分に動かす事ができる外遊びは子どもの心と体を「望ましい姿」にするための必要な要素でした。
その他にも前頭葉の働きや子ども達がじっとしてないのは子ども達が「やりたい」と思ったことを十分にできないからで、子ども達が「ワクワク・ドキドキ」するような経験を十分できれば、子ども達は落ち着くことができることなども学びました。
今は子ども達が「落ち着きにくい」時代になっているのかもしれません。特に「しなければいけないこと」「してはいけないこと」が特に多くなっている現在に、「やりたいこと」「ワクワク・ドキドキできること」を一つでもたくさんさせてあげられたらと思います。
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