2021年5月10日の素話(化け猫のお話・屏風の虎)

今年度もお話の時間が始まりました。

お話の時間はいつも子ども達も静かにしてくれているのですが、中にはその時間に耐えられなくなる子も出てきます。

特にお話の内容に入り込むまでの時間が一番つらいようで、立ち上がってしまったり、ゴロゴロと寝転がってしまったり、周りの子どもは静かにしていても一人で話し出してしまったりする子がいます。

そうなることは仕方がないのですが、段々と成長するに従って、「これから楽しいお話が始まるかもしれない」というワクワク感を持ってもらえるように、色々と準備していきたいと思います。また、成長するに従って「もしかして今ここで自分が話をしたり立ち上がったりしたら、周りのお友達が嫌な思いをするかも?」と気づくようになってもらえるようにと願っています。

今回は初回なので年中のたんぽぽグループ、年長のすみれグループの全員に参加してもらいましたが、次回からは「お話を聞きたい人」が参加するようにお願いしました。子どもが「やりたい」と思ってくれることが一番最初のステップなので、たんぽぽグループ・すみれグループにはお願いを聞いてもらえると思っています。

屏風の虎(たんぽぽグループ)

いわゆる一休さんの有名なお話です。子ども達もストーリーを知っている子が半分以上いたようでした。

 

 

昔々、一休さんというとんちが得意な小僧さんがいました。一休さんの評判をきいたお殿様が、お城に一休さんを呼び出しました。

「一休よ、さっそくだがそこの屏風に描かれている虎を縛り上げてくれないか。夜中に屏風から抜け出してきて悪さばかりしてるので、本当に困っているんだ。」とお殿様は言いました。

でも本当は屏風から虎が抜け出してきたりはしません。一休さんを困らせようと、お殿様が嘘を言っていたのです。

 

屏風の虎は本物の虎のようで鋭い牙を向いていたので今にも飛び出してきそうです。

一休さんは「わかりました、そのぐらいお安いご用です。縛り上げるための太い縄を用意してください」と言いました。

お殿様はニヤニヤ笑って「おお!そうか、やってくれるか」と意地悪な顔をしています。一休さんは大真面目でたすきを締めて動きやすい格好になりました。縄を小脇に抱えて屏風の前に立ち、お殿様に言いました。

「さあお殿様、準備できました。早く屏風から虎を追い出してください。」

お殿様は困ってしまって、「何を言うか、屏風に描かれた虎を追い出せるわけ無いだろう」というと、一休さんはにっこり笑って、「それは良かった。虎は屏風から出てこないのですね。屏風から出てこないと私は縛り上げることは出来ません。」というと、お殿様は手を叩いて喜んで、一休さんに褒美を上げました。

 

化け猫の化かされ負け(すみれグループ)

お話のストーリーは2019年6月17日の「鬼を一口」とほとんど同じです。少し怖いお話と、化け猫がどんどん小さくなっていくイメージを持てた子どもは楽しめたようです。

 

ある所に一人の小僧がおったそうな。その小僧、とにかくあっちへフラフラこっちへフラフラと落ち着きがなく、大人たちもちょっと困っていたそうな。

大人から「やってはいけない」と言われるとやりたくなって仕方がない、大人から「行ってはいけない」と言われるとどうしても行ってしまう、そんな小僧だったんだ。

この小僧は、繰り返し、「あの森の中に入ってはいけないよ」「知らない人について言ってはいけないよ」と言われていたのに、ちょっと美味しそうな木の実を見つけただけで、言われていたことも忘れてすぐに森の中に入っていってしまったんだ。かっこ悪いね。

で、木の実拾いに夢中になっていると、あたりが真っ暗になってしまって、どうやって変えればよいか分からなくなったんだ。すると、そこに一人のおばあさんが来て、「道に迷ったんかい、もう遅いから家で一晩止まっていけばいいさ。温かいご飯とお風呂を用意してやる。温かい布団で眠ればええ」と言ってくれたんだ。

この小僧、知らない人について行っては行けないと言われていたのに、すっかり忘れてついていってしまったんだ。本当に温かいご飯を食べて、お風呂に入って、布団で寝てしまったんだ。

その日の夜、「クックック」という笑い声と「シャーシャーシャー」という音に気づいて、小僧が夜中に起きたんだ。なんだろうと思って耳を澄ましていると、また、「クックック」、「シャーシャーシャー」が隣の部屋から聞こえてきたんだ。部屋のふすまからそ~っと覗いてみると、おばあさんの着物を着た大きな化け猫が、一人で包丁を「シャーシャーシャー」と研ぎながら「ああ、うまそうな小僧が手に入った。手足を切って鍋でグツグツ煮込んで食べてやろう。クックック」といって、小僧を料理する準備をしていたんだ。

恐ろしくなった小僧は「ひぃ」と声を上げてしまったんだ。すると隣の部屋から「見たな!」と声が聞こえたんで小僧は一目散に逃げたんだ。とにかく走って走って走っていくと、古いお寺があったんで、急いで逃げ込むとお寺には住職さんがいたので、化け猫が出たから助けてほしいと言って隠れたんだ。

お寺の住職さんは門の前に立って化け猫が来るのを待っていると、ドタドタ走って追いかけてくる化け猫を見つけたんだ。

化け猫は「おい住職、この寺に小僧が逃げてこなかったか?あれは私の獲物なんだ。隠してないで引っ張り出せ」と言ってきた。

住職は「さぁ知らんなぁ、もし知っていてもただではおしえん。そうだなぁ化け猫のバケ姿を見せてくれたら教えてやってもいいけどなぁ」とごまかしたんだ。

すると「じゃあ見せてやろう」と大きく息を吸い込みボンッと煙を吐くと、化け猫は住職よりもず~っと大きな熊の姿に化けたんだ。

住職は「息を吸ったら大きくなるじゃろう、そんなことでは教えられん。そうだな、今度は小さくなってみてくれ」といったんだ。

化け猫は「そんなことは簡単だ」と息を大きく吸い込みボンッと煙を吐くと、化け猫は猫の姿に化けたんだ。

住職は「そんなものは元の姿に戻っただけじゃろう。もっと小さくなれないのか」というと、化け猫は意地になって「だったらこれはどうだ」とアリンコの姿になったんだ。

それを見た住職はプチっとそのアリンコを潰してしまったんだ。

これでこの山で小僧を食べる化け猫は出なくなったんだってさ。

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