6月24日の素話(水蜘蛛・だんまりくらべ)

目次

7月からは水遊びが始まるので、お話はしばらくお休みになります。今日は夏のお話「水蜘蛛」と少し長めの「だんまりくらべ」を話しました。

水蜘蛛

ある日川で若い男の人が川で釣りをしていたんだ。その男の人はサンダルを履いていたんだけど、一匹の蜘蛛が水の中から出てきて、男の人のサンダルに「ひょい」と糸を引っ掛けて水の中に潜っていったんだ。

「おかしなことをする蜘蛛もいるもんだ」と特に気にせず釣りを続けていると、また水の中から蜘蛛が出てきて、「ひょい」とサンダルに糸を引っ掛けて水の中に消えていった。そうして蜘蛛がサンダルに糸を引っ掛けるのを何十回も繰り返しているうちに、細かった糸はだんだんと太いロープのようになってきました。男の人もだんだん気味が悪くなってきて、太いロープがつながったサンダルを、近くの太い木にくくりつけて遠くからその様子を見ていました。

しばらくすると、太い木が根っこから「グラングラン」と揺れ始め、しまいには根っこからボキボキボキッと折れて川の中に引き込まれてしまいました。怖くなった男の人は急いで家に帰っていきました。

それからというもの、男の人は川の近くで遊ぶときには水の近くに近づかないようにして、靴もしっかりとした靴をはくようになったということです。さあ、あのとき出てきた蜘蛛は何だったんだろうね。あのままサンダルで釣りをしていたら、蜘蛛に足を持っていかれたんだろうか。今となってはなんにもわからないね。

 

だんまりくらべ

昔、ある所におじいさんとおばあさんがいました。ある日隣の家からつきたてのお餅を7つもらいました。

「ばあさんや、ひとつずつ食べようや」とおじいさんが言いました。「良いですね。一つずついただきましょう」とおばあさんが言いました。二人は仲良くひとつずつ頬張って「こりゃ美味しい、ほっぺが落っこちるというのはこのことじゃ」と笑いました。

お餅はあと5つになりました。

「ばあさんや、もう一つずつ食べようよ」「そうしましょうそうしましょ」おじいさんとおばあさんはまたひとつずつお餅を食べて「こりゃあうまい。ほほほほほ。」と笑いました。

お餅は後3つになりました。

「美味しいついでだ。もう一つずつ食べてしまおう」「そうですね食べてしまいましょう」おじいさんとおばあさんはまた1つずつとてあんぐりモゴモゴと食べました。そうしたらお餅は一つだけになってしまいました。

「ばあさんや、一つだけになってしまったから、このお餅はじゃんけんで勝ったほうが食べるとしよう」とおじいさんが言いました。「じゃんけんはおじいさんが勝つに決まっている」とおばあさんが首を振りました。

「そんなら腕相撲して勝ったほうが食べることにしよう」とおじいさんが言うと、「ダメダメ、おじいさんが強いに決まっている」とまた首を振りました。

「それもこれも嫌なんだっていうなら、じゃあ、だんまりくらべして勝ったほうが食べるとしようや」「ああ、そうしましょう。先に喋ったほうが負けになるのね」とおばあさんも賛成しました。1、2、3と二人一緒にだまりました。それからずっと黙っておりました。

おじいさんは「早くおばさんが喋ればいいな」と思っていました。おばあさんも「早くおじいさんが喋ればいいな」と思っていましたが、ふたりともパッタリと喋らなくなってず~っと黙っています。あんまり黙っていたので、おじいさんは退屈になってしまったんので布団に潜り込んでしまいました。おばあさんも退屈になったので、布団に潜り込んでしまいました。

しばらくするとゴトゴトと音がして、泥棒が入ってきました。

おじいさんとおばあさんはびっくりしましたが、喋ってしまうと負けてしまうので、ふたりともジィっと黙っていました。泥棒は「しめしめ、この家には誰もおらんぞ」と思って戸棚を開けたり引き出しを開けたりして着物やお金を袋いっぱいに入れていきました。

ふっと机の上を見ると美味しそうなお餅が一つ残っていました。

「これは良い、ついでにお持ちも頂いていこう」と食べようとしたその時、おばあさんが「どろぼう!」とありったけの声で怒鳴りました。今度は泥棒がびっくりしてお餅も袋も置いて飛んで逃げていきました。

おじいさんはニヤリと笑って「ばあさん、ばあさん、声を出したからわしの勝ちじゃ」といってお餅をひょいと取ってしまいました。

「あらあら、私が声を出さなかったらお餅もなにも全部泥棒に取られてしまったでしょうが」とおばあさんが止めようとしましたが、おじいさんは「うまい、うまい、この餅が一番うまい」とすっかり食べてしまいましたとさ。

 

話し方の工夫

私自身が勉強中ということもありますが、今回はどちらのお話も「わかりやすい」話し方を心がけました。
特に抑揚も大きめにして話をしたので話の内容はよくわからないとしても、なんとなく雰囲気は楽しんでくれたのではないでしょうか。

夏を終えて少しずつ子どもたちも話を聞くことに慣れてきたら、抑揚を抑えて言葉からしっかりとイメージをふくらませることが出来るような話し方に変えていきたいと思います。

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