2022年6月20日の素話(ぶらぶらたろう・猫の名前)

今日は昔話と小噺をしてみました。

子どもたちの様子を見ながら、今日はあえて抑揚を少なくして想像することに重きを置く話し方をしてみました。頭の中にどんなイメージが湧いているのか一人ひとりの表情を見て話をすることは毎回楽しみです。

特に、お話を聞くのが苦手そうな人も、ゆっくりと目を見ながら話をしてあげると、だんだんと引き込まれていくのがわかります。

 

ぶらぶらたろう(すみれグループ)

昔、何もしなくて毎日遊んでばかりいる、怠け者の「たろすけ」という男がいました。

たろすけは朝から晩までブラブラと何をするわけでもなく、ボーッと過ごして遊んでいました。

今日もたろすけがブラブラと道を歩いていると、不思議なつぼを見つけました。たろすけがそのつぼを覗いてみると、中に小さな男が寝っ転がっていました。たろすけがその男を取り出してみると、手のひらに乗るぐらいの小さな男がなかで寝っ転がっていました。

目を覚ました小さな男は、たろすけに「おれはなぁ、おまえさんみたいにな~んもせんで遊び呆けているやつが大好きなんじゃ。ちょいとお前さんの家に連れて行ってくれいや。」と言ったので、面白くなったたろすけは、その男を家に連れて帰りました。

次の日たろすけがいつものように一日遊んで家に返ってくると、見たことのない男が家で寝ていました。驚いたたろすけは「お前は誰じゃ」といいました。するとその男が「もう忘れたんか、お前が拾ってきた壺の中におった男じゃ。お前が遊んでくると、わしの体が大きくなるんじゃ。だからこれからもいっぱい遊んできてくれや」といいました。

たろすけはびっくりしましたが、まあなんとかなるだろうと次の日も遊びに行きました。夕方、家に帰ると男はまた大きくなっていて、頭が天井に付きそうになっていました。その日の夜、たろすけは男に踏み潰されやしないかとヒヤヒヤしながら部屋の隅っこで寝ました。

また次の日、たろすけが一日ブラブラと遊んで帰ってくると家の入口から大きな足が飛び出していて、家の窓から大きな手が飛び出していました。

「こりゃたまげた!おちおち遊んでたら家が壊れてしまう!」とたろすけは次の日から畑で仕事をするようになりました。すると、男の体が少しずつ小さくなっていきました。それから毎日たろすけは畑仕事をするようになりました。

しばらくしてたろすけが前の家に帰ると、あの男はいなくなっていました。ほっとしたたろすけが家でお茶を飲んでいると、部屋の隅に置き忘れていた壺から声が聞こえました。

「おーい、たろすけ、お前さんが働くようになったから、この家は住みにくくなった。どっか道端にこのつぼ捨ててきてくれいや」

 

 

猫の名前(たんぽぽグループ)

子どもたちが集まって話をしていたんだ。

「この間猫をもらってきたんだけど、名前がまだないんだ。他の猫に負けないような強い名前がいいんだけど、どんな名前がいいと思う?」と友達に聞くと、

「そりゃあ”青空”ってつけるのがいいよ。青空は大きくて気持ちが良いからねぇ」

すると別の子が「いやいや、青空は雲には勝てないよ。雲が青空を隠してしまうだろ?だから”雲”がいいよ」

すると別の子が「いやいや、雲は風には勝てないよ。どんな雲でも強い風が吹いたらどこかへ行ってしまうからね。だから”風”がいいよ」

すると別の子が「いやいや、風は家の壁には勝てないよ。どんな強い風が吹いても、家の壁は風を通さないんだから。だから”壁”がいいよ」

すると別の子が「いやいや、家の壁はネズミには勝てないよ。家の壁はネズミにかじられてしまうから。だから”ネズミ”がいいよ」

すると別の子が「いやいや、ネズミは猫には勝てないよ」というと、初めの子が「じゃあこの猫は”猫”と言う名前にしよう」ということになったんだって。

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