共感的理解

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気持ちがぶつかるときこそ

春らしい日が多くなったこの時期、すみれグループの子どもたちはすみれグループだけでの生活をするようになりました。また、他の年齢の子どもたちも新しいお部屋や新しいお友達との生活を始めています。

環境が変わると子どもたちにとっては目新しいことが増え、毎日が刺激的になります。それは子どもたちにとっては嬉しいことも増える反面、ストレスになることもあります。そんなときには子ども同士でいざこざも起きやすくなります。

子ども同士で喧嘩をしていたり、思いがぶつかり合ったりするときには、双方の思いを受け止めて、どうしたかったのか?何が気に入らなかったのか?を丁寧に聞く必要があります。この思いを受け止めることはとても大切なのですが、とても手間がかかることです。

私自身も我が子がイヤイヤ期ど真ん中の時期には、子どもの思いを受け止めることを続けていくのが大変で、「もう勘弁して」と思ってしまうことがあります。ところが、我が子も成長してくれたのか、こちらの関わりが功を奏したのか、最近では親のほうが「受け止めるモード」で接していると、子どもの方もなんとなく「この人は話を聞いてくれる人だから、ちょっと落ち着いてみようかな?」という雰囲気を出すようになりました。親のひいき目かもしれませんが。。。

大人も子どもも双方言い分はある

難しいのは「受け止めること」と「言いなりになること」は違うというところです。大人にも子どもにもそれぞれの事情があるので、うまく折り合いをつけていくことが必要になります。

子どもたちの思いがぶつかったときに、大人が裁判官のように「◯◯してはいけません」とか「◯◯するのはだめ」とだけ言ってしまうと、残念ながら子どもには通じません。大人は「なぜだめなのか?」を知っていたり、頭で理解しているので大丈夫なのですが、「なぜ」や「理由」を理解出来ない段階の子どもには、ただ、「大人から否定された」としか印象に残らないようです。

「私」を主語にした語りかけ

子どもたちが言葉だけで全て理解してくれれば大人にとっては都合が良いですが、子どもの心と体の成長が追いついていないときからそれを求めることは、子どもに無理をさせてしまいます。無理なくその子が成長できるように、叱るときやしてほしくないことを伝えるときには、その子一人ひとりの思いを受け止めてから、何をどうすればよいのかを伝えていくように意識すると良いでしょう。

例えば叱るときなら、体を低くしてその子と目線を合わせます。声の大きさはその子に聞こえる程度まで絞り、声の調子も怒った調子ではなく、普通に話をするときのような調子にします。伝えるときには「◯◯しちゃだめでしょ」から始めるのではなく、「◯◯したかったんだ。だから◯◯したんだね」とその子の行動(事実)を一緒に振り返ることから始めて、「◯◯したら、私は嫌だった」のように「良い」か「悪い」かではなく、その子と話をしている「私」がどう感じたのかを伝えるようにします。そのうえで「◯◯しないでね」と伝えるような手順を取ると子どもには受け入れやすいものになります。

共感的理解

この「その子の行動(事実)を一緒に振り返る」ときには「相手の目で見て、相手の耳で聞いて、相手の心で感じる」という共感的理解がとても大切になります。とても遠回りのようですが、実はこれが一番早道なのだと思っています。

新しい年度になり、新しい環境で生活が始まる子どもたちはいろいろな出来事と真剣に向かい合います。その中で思いがぶつかったときに周りからしっかりと「共感的理解」をしてもらえれば、少し時間はかかるかもしれませんが、相手のことを思いやることの出来る優しい人、気持ちのままに暴れたり叫んだりしない人に育ってくれるものと思っています。

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