2019年6月10日の素話
今日はたんぽぽグループとすみれグループの子どもたちが一緒にお話を聞いてくれました。
しっかりとお話が聞ける子も、そうでない子もそれぞれがそれぞれの楽しみ方で聞いてくれればそれで良いと思っています。
子どもたちからのリクエストとして「忍者のお話」や「水族館のお話」が出てきたので、ちょっと頑張ろうと思います。
今日のお話
こがねの斧(すみれグループ・たんぽぽグループ)
昔々、そのまた昔、正直者のおじいさんと欲張り者のおじいさんが隣同士で住んでいました。二人は山から木を切ってそれを売ってお金を稼いでいました。ふたりとも毎日毎日働いても、生きていくのがやっとでした。
ある日、正直者のおじいさんが山にある池の近くで木を切っていました。
「トンツクトン、トンツクトン、この木を切ったら昼飯だ」
「トンツクトン、トンツクトン、この木を切ったら昼飯だ」
一生懸命木を切っていたのですが、うっかり手に持った斧をスルッと離してしまい、池の中にボッチャーンと落としてしまいました。これは困った、池の神様に斧を返してもらえるようにお祈りをしていると、金ピカに輝く池の神様が金ピカに輝く斧を持って現れて、正直者のおじいさんにこう聞きました。
「この斧を落としたのはお前か」
正直者のおじいさんは、「いえいえ、そんなたいそうなものは落としておりません。私が落としたのは普通の斧です。普通の斧を返して下さい」と答えました。それを聞くと池の神様は「お前は正直者だな、ほれこの通り、お前の斧を返してやろう」と落とした普通の斧を返してくれました。そして、「褒美にこの金の斧をやろう。これを売ってお金にすると良い」と金ピカの斧もおじいさんにくれました。正直者のおじいさんは家に帰り、この斧を売ってお金にして、美味しいご飯をたくさん食べられるようになりました。
隣に住んでいた欲張り者のおじいさんは、正直者のおじいさんが贅沢な暮らしをしているのを見て、何かあったに違いない、どんな秘密か聞き出してやろうと正直者のおじいさんを家に招き、何度もお願いして教えてもらいました。正直者のおじいさんは、欲張り者のおじいさんにこんなふうに教えてあげました。
「山の上に池があるだろ?あそこでいつものように木を切っていたんだ。トンツクトン、トンツクトン、この木を切ったら昼飯だ、トンツクトン、トンツクトン、この木を切ったら昼飯だってね。そしたら斧を池に落としてしまったんだ。神様にお祈りしたら、金ピカの斧をもらえたんだよ。それを売ってお金にしたんだ」と、正直に教えてあげました。
「そうか、あの池に斧を落とせば金ピカの斧がもらえるんだな」とニンマリ笑った欲張り者のおじいさん。あくる朝、空が暗いうちから山に出掛けて池の近くで木を切り始めました。
「トンツクトン、トンツクトン、この木を切ったら昼飯だ。トンツクトン、トンツクトン、この木を切ったら昼飯だ」と、池の神様に聞こえるようにまだ朝の早い時間から大きな声で叫んでいました。ようし、ここらで斧を落とすぞと、池の真ん中に向かってエイヤ!と斧を投げ入れました。
「池の神様、池の神様、落とした斧を返してくれませんか」と欲張り者のおじいさんが祈っていると、池から金ピカに輝く神様が金ピカに輝く斧を持って現れて、欲張り者のおじいさんにこう聞きました。
「この斧を落としたのはお前か」すると欲張り者のおじいさんは「そうです!私が落としたのはその斧です」と答えると、「この欲張り者の嘘つきめ、落とした斧も返してやらん」と怒って池の中に消えてしまいました。
欲張り者のおじいさんは商売道具の自分の斧も無くしてしまい、更に貧乏になってしまったということです。
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