2019年6月3日の素話

目次

今日のお話

すみれグループ向けのお話は、同じ展開が何度も繰り返し出てくるものです。また、身近な動物がぺろりと食べられてしまう様子を頭の中でイメージできた子どもたちは「え!?馬が豚に食べられたの?!」とびっくりしたような顔をしていました。

どんどん動物の種類が増えていくので、子どもたちも楽しそうに聞いてくれました。

たんぽぽグループのお話は絵本などでもよく使われている有名なお話です。

うさぎやサメなどの具体的な動物のイメージを持つことは十分に出来ているようでしたが、皮を剥がされた後の様子は子どもによってはまだ難しかったのかもしれません。

素話は子ども一人ひとり楽しみ方が違うものですので、無理のないように、また、子どもたちが楽しめるように毎週工夫をしながらお話を選んでみたいと思います。

 

ギアッコ少年と豆(すみれグループ)

昔イタリアという国に貧しい「ギアッコ」という男の子がいました。ギアッコにはお父さんもお母さんもいませんでした。あるのは両手に一杯の豆だけでした。

ギアッコはとても困ってしまったので、豆を一粒食べては仕事を探し、また豆を一粒食べては住むところを探していましたが、とうとう豆はあと一粒だけになってしまいました。

困ったギアッコは古ぼけた一軒の家にたどり着き、ドアを「トントン」と叩いて「誰かいませんか」と聞くと、中からシワシワのおじいさんが出てきました。

「僕はギアッコといいます。お父さんもお母さんもいません。あるのはこの豆ひと粒だけです。どうかご飯をもらえませんか」そう言うとシワシワのおじいさんは「可哀想に、中にはいってご飯を食べて、一晩泊まっていきなさい」とごちそうをしてくれました。ギアッコはお腹いっぱいになって幸せな気分で眠ることが出来ました。

その夜、ギアッコが寝ている間に、たった一粒になったギアッコの豆を猫が食べてしまいました。目を覚ましたギアッコは驚いて、「おじいさん、僕の豆をこの猫が食べてしまいました」というと、おじいさんは「こんな欲張りな猫はもういらないから、持っていっていいよ」とギアッコに猫をくれました。

ありがとうと言ってギアッコはおじいさんの家を出て、また仕事を探しに行きましたが、仕事が見つからず、またまたお腹をすかせてウロウロしていました。すると目の前に汚いお家が見えてきました。

ギアッコはドアを「トントン」と叩いて、「誰かいませんか」と聞くと、中からヨボヨボのおじいさんが出てきました。

「僕はギアッコといいます。お父さんもお母さんもいません。あるのはこの豆を食べた猫だけです。どうかご飯をもらえませんか」というと、おじいさんは「それは可哀想に、中にはいってご飯を食べて一晩泊まっていきなさい」とごちそうしてくれました。お腹いっぱいで幸せな気分で寝ていると、おじいさんの家の犬が豆を食べた猫を食べてしまいました。

目を覚ましたギアッコは驚いて「おじいさん、ギアっ子の豆を食べた猫を、この犬が食べてしまいました」というと、おじいさんは「こんな欲張りな犬はもういらないから、持っていっていいよ」といってギアッコに犬をくれました。

ギアッコは犬を連れてまたまた歩いていくと、立派なお家を見つけました。お腹をすかせたギアッコはドアを「トントン』と叩いて、「誰かいませんか」というと、中からでっぷり太ったおじいさんが出てきました。

「僕はギアッコといいます。お父さんもお母さんもいません。あるのは豆を食べた猫を食べた犬だけです」というと、「それは可哀想に。中に入ってご飯を食べて一晩泊まっていきなさい」と言ってごちそうしてくれました。お腹いっぱいで幸せな気分で寝ていると、おじいさんの家の馬がギアッコの犬を食べてしまいました。

目を覚ましたギアッコは驚いて、「おじいさん、ギアっ子の豆を食べた猫を食べた犬を、この馬が食べてしまいました」というと、おじいさんは「こんな欲張りな馬はもういらないから、持っていっていいよ」とギアッコに馬をくれました。

ギアッコは馬を連れて歩いていくと、立派な家にたどり着きました。お腹をすかせたギアッコはドアを「トントン」と叩いて、「誰かいませんか」というと、中から綺麗な白髪をしたおじいさんが出てきました。

「僕はギアッコといいます。お父さんもお母さんもいません。あるのは豆を食べた猫を食べた犬を食べた馬だけです」というと、「それは可哀想に。中に入ってご飯を食べて一晩泊まっていきなさい」とごちそうをしてくれました。お腹いっぱいで幸せな気分で寝ていると、おじいさんの家の豚が馬をぺろりと飲み込んでしまいました。

目を覚ましたギアッコは驚いて、「おじいさん、僕の豆を食べた猫を食べた犬を食べた馬を、この豚が食べてしまいました」というと、おじいさんは「こんな欲張りな豚はもういらないから、持っていっていいよ」とギアッコに豚をくれました。

その国の王様がギアッコの話を聞きつけて、お城にギアッコを呼び、話をさせました。

「ギアッコよ、お前が持っているのは何だ?」と聞くと、ギアッコは「僕にはお父さんもお母さんもいません。あるのは豆を食べた猫を食べた犬を食べた馬を食べた豚だけです。」と言いました。

王様はハッハッハと笑って、お前が持っているのは豚を食べた馬を食べた犬を食べた猫を食べた?ん?なんだかおかしいな、もう一度言ってくれ」と言いました。

ギアッコは「ですから豆を食べた猫を食べた犬を食べた馬をたべた豚です」と答えました。

王様はまたまた「ハッハッハ」と大笑いして「面白い物を聞かせてもらった」これからはこのお城で暮らすと良いとギアッコがずっとお城で暮らせるようにしてくれましたとさ。

 

因幡の白うさぎ(たんぽぽグループ)

むかしむかし、隠岐(おき→島根県)の島という小さな島に、一匹の白ウサギが住んでいました。ウサギは毎日浜辺に出ては、海の向こうに見える大きな陸地に行きたいと思っていました。

ある日の事、良い事を思いついた白ウサギは、海のサメに言いました。

「サメくん、ぼくの仲間と君の仲間と、どちらが多いか比べっこをしよう。君たちは向こう岸まで海の上を並んでくれ。ぼくはその上を数えながら飛んで行くから」

「いいよ」お人好しのサメは、白ウサギの言う通りに向こう岸まで並びました。

「じゃあ、始めるよ。ひとつ、ふたつ、みっつ・・・」

白ウサギはサメの上をジャンプしながら、向こう岸まで渡りました。

「やーい、だまされたな。比べっこなんてうそだよ。お人好しのサメくん。ぼくはこっちに渡りたかっただけなのさ」

それを聞いたサメは怒ってウサギを捕まえると、ウサギの皮をはいでしまいました。

「うぇーん、痛いよ!」皮をはがされたウサギが泣いていると、若い神さまたちがそこを通りかかり、「海水を浴びて、太陽と風に当たるといいよ」と、教えてくれました。

ウサギが教えられた通り海水を浴びると、ますます痛くなりました。そして太陽と風に当てると、さらにもっと痛くなりました。そこへ、大荷物を持った神さまがやって来ました。

その神さまは意地悪な兄さんたちに荷物を全部持たされていたので、遅れてやって来たのです。

「かわいそうに、まず池に入って、体の塩気を良く洗うんだ。それから、がまの穂(ほ)をほぐしてその上に寝転がればいいよ」ウサギがその通りにすると、やがて痛みも消えて、全身に元通りの毛が生えてきました。

この心やさしい神さまは、のちにオオクニヌシノミコトと呼ばれ、人々にうやまわれたそうです。

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