2024年2月19日の素話(3匹のこぶた、鬼を一口、不思議なしゃもじ)

2024年3月11日

目次

素話していると子どもたちがお話の中に入り込んでいく姿がとても良く分かります。

耳で聞いた言葉から頭の中でイメージを膨らませて、あたかも目の前でその光景が広がっているように感じられるほど豊かなイメージを膨らませる事ができる子もいます。逆にそういった言葉からイメージへの変換が苦手な子どももいます。どちらの子どももその子なりの楽しみ方ができればと考えています。

絵本に馴染みがあると、言葉とイメージをつなぐことが得意になります。文字の理解ができないときから、読んでもらった言葉と本の中の絵を繋いで、「この言葉はこんなイメージなんだ」という経験を何度も繰り返していると、動かない絵を見てもそれが動いているようなリアルなイメージを作ることが出来るようになります。逆にテレビや動画を見ることが多いと、実際の動きがないとイメージを膨らませることが難しくなります。言葉で聞いた内容が目で見たとおりの動きをしてくれないと、頭の中のイメージも動いてくれないという感じでしょうか。

言葉からイメージをありありと想像するためには言葉の意味を知ることも大切です。知らない言葉を聞いてもそれが何を指すのか、どんなことを指すのかがわかりません。どれだけ多くの種類の言葉に触れられるか、もイメージの力を高めるために大切になります。

大人がそのようなねらいだけで絵本を読み聞かせたり、素話をしたりしても子どもにとっては楽しい時間になりません。もちろん、大人にとっても「しなければならない」ことになってしまうので、おそらくつまらないでしょう。なんだか仕事みたいですしね。

子どもとの関わりが「仕事」「しなければならないこと」となってしまっては幸せではないでしょう。「遊び」「したいこと」となる方が、大人も子どもも幸せになれると思います。

とは言え、毎日仕事と家事とを忙しく両立している親御さんにとってはそこまでの余裕が持てない!というのもまた真実だと思います。忙しい親御さんは「常に」ではなくても良いので「たまに」は子どもとのんびりと絵本や素話で一緒に楽しむことが出来たら良いのではないかと思います。

つくしグループ 3匹のこぶた

3匹のこぶたの兄弟が一人ひとり自分で家を建てることから始まります。3匹それぞれの性格が違っているので家も様々です。そんな家に恐ろしいオオカミがこぶたを食べにやってきました。

オオカミは力強い息でこぶたの家を吹き飛ばしたり、強烈な体当たりでこぶたの家を壊したりしてきます。一番下の弟は長い時間一生懸命になって建てたレンガの家だったので、オオカミの息や体当たりではびくともしません。

オオカミは家を壊すのを諦めて、煙突から中に入ろうとしますが、家の中では暖炉で大鍋にお湯をグラグラ沸かせています。そんな事も知らずにオオカミは煙突から降りてきて、大火傷をして逃げていきます。

 

繰り返しの面白さもありますし、オオカミの息で家が吹き飛ぶ情景なども子どもたちが理解しやすいお話です。有名なお話ですし、ストーリーも難しくないのでつくしグループの子どもたちにとっては楽しめる内容だったのではないかと思います。

 

たんぽぽグループ 鬼を一口

今回は鬼ではなく山姥にして話をしました。

森の奥で帰れなくなった小僧が優しそうなおばあさんに助けてもらい、一晩泊めてもらうことになったのですが、そのおばあさんは実は山姥だったのです。

小僧が寝静まった頃合いに、山姥が大きな包丁を研いでいます。隣の部屋で寝ていた小僧が目を覚ますと恐ろしい山姥が包丁を研いでいます。慌てて逃げ出した小僧を恐ろしい形相で追いかけてくる山姥。命からがら小僧がお寺に逃げ込み、和尚さんに助けてもらいます。

山姥は和尚さんに「小僧を出せ」と言いますが、和尚さんはのんきに「突然訪ねてきてそんな言い方、失礼だろう。一つ芸でも見せてみよ、そうしたら考えてやる」というと、山姥は巨大な姿に変身します。それでも和尚さんはのんきそのもの。「そんなこと誰でも出来るだろう。ほれ、今度は小さくなってみよ」とけしかけます。

和尚さんの言葉にぐんぐん小さくなっていく山姥はついに蟻ぐらい小さく変身しました。それを見た和尚さんは山姥をプチっと潰して食べてしまう、というお話です。

森の中で迷ってしまう小僧の動きや、優しそうに見えるおばあさんと恐ろしい山姥の対比、小僧が逃げていく姿、和尚さんが山姥をからかう描写など、色々とイメージを膨らませやすい場所が沢山あるお話です。

たんぽぽグループの子どもたちは、山姥へ変わったおばあさんを上手に想像して恐ろしそうな表情で話に入り込んでいました。

 

すみれグループ 不思議なしゃもじ

貧しい若者は毎日神社にお参りに来ています。いつものようにお参りに来ると、赤と黒の不思議なしゃもじを拾います。赤いしゃもじでお尻を叩くと、若者の周りを走り回ってしまうようです。しかも走りながらスッパンスッパンと止めどなくおならをしてしまうようです。

ところが黒いしゃもじでお尻を叩くと、走ることもおならをすることもピタッと止まります。それだけでなくあっという間に元気になって、しかも若々しくなれるというものでした。

若者は不思議なしゃもじで病気の人を(おならをしながら走り回らせて)治してしまい、大金持ちになりました。

隣の国の王様は病気のお姫様を治療するために優れた医者を国中で探していました。ところがその国では医者は見つからなかったので、隣の国のこの若者の噂を聞きつけて隣の国へ呼び「姫の病気を直してくれたら何でもする」と頼み込みました。

若者は「私なら治すことが出来るでしょう。ただし。。。」と言葉を詰まらせました。王様は「治してくれるのであれば、何でもする!」とお願いをしました。

若者は若く美しいお姫様と二人きりになれる部屋に行き、お姫様にゆっくりと確認しました。「ほんとに治したいですか?何でもしますか?」お姫様は力強く「はい」と答えます。若者は「それではこちらにお尻を向けて下さい」と頼みます。恥ずかしながらもお尻を向けるお姫様。そのおしりをスパーンと叩くと若く美しいお姫様がおならをスッパンスッパンしながら自分の周りを走り回る。黒いしゃもじでお尻を叩かれ、無事に病気が治っていくが、お姫様はとても恥ずかしい思いをした。

 

とっても不思議なお話ですが子どもたちも先の展開を予想しながら聞くことが出来ると、話を聞く前に笑いだします。「お姫様、それではこちらにお尻を向けて下さい」と神妙に話し出すと、子どもたちもこらえきれずに笑いだしたりします。先の見通しを持つことが出来ると、予想通りになる面白さ、美しい者がおならを撒き散らす滑稽さなどを感じてお話に入り込みます。

このお話が十分楽しめるようであれば、「しばいのすきなえんまさん」のようなお話も楽しめるようになります。これからがとても楽しみですね。

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