2022年6月6日の素話(アリとキリギリス・クラゲ骨なし)

たんぽぽグループ、すみれグループの2つに分かれてのお話でした。

たんぽぽグループの子どもたちには、一度は聞いたことのありそうなお話をし、すみれグループの子どもたちには、登場人物を想像しやすいお話を選んでみました。

雨が降りそうで降らない天気の日、外で遊びたそうな子どもたちに少し頑張ってもらってお話を聞いてもらいました。

アリとキリギリス(たんぽぽグループ)

そろそろ夏になってきたね。今日は涼しいけど、これから暑くなってくるとどんどん虫さんたちも出てくるね。

そんな夏は虫にとっても食べ物が沢山ある時期なんだけど、そんな夏のある日、キリギリスが汗だくになって働くアリに声をかけたんだ。

「アリさん、汗だくになって何をそんなに運んでいるの?」

アリは答えたんだ。「このあたりは冬になると食べるものが無くなるから、今から食べ物を沢山運んでおくのさ」

そんなアリをキリギリスは笑って「そんなに頑張らなくても、僕みたいに楽しく歌って過ごせばいいじゃないの」と言いのけたんだ。

夏も終わり、秋になったある日、キリギリスは働いているアリに向かって聞いたんだ。

「アリさん、何をそんなに働いているの?」

「キリギリスさん、今から食べ物を取っておかないと、冬になったら食べるものが無くなるんだよ。だから運んでいるのさ」

「アリさん、そんなに働かなくても、僕みたいに楽しく歌って過ごせばいいじゃないの」と、キリギリスは笑ったんだ。

そして、秋が終わり寒い冬になったんだ。

キリギリスは「ああ、寒い、食べるものがどこにも見つからない。どうしようか。そうだ!アリさんがたくさん食べ物を運んでいたから、それを少し分けてもらおう」そう言ってキリギリスはアリさんの家に行ったんだ。

ドンドンドン!アリさんの家の扉を叩いだんだけど、ちっとも開かないんだ。キリギリスはまたアリさんの家の扉を叩いて叫んだんだ。

「おーい!開けてくれ、お腹が空いて死にそうなんだ!」

するとアリさんが家の中からこういってきたんだ。

「あれだけ食べ物がなくなるから運んでおきなさいって言ったのに、今頃になって困っても、もう知らないよ。」

そう言って、アリさんの家の扉は二度と開かなかったんだ。

キリギリスは寒い冬の日に、死んでしまったんだって。

 

クラゲ骨なし(すみれグループ)

昔むかし、海の底の龍宮城では乙姫様が病気になっていました。心配した竜王様は家来に尋ねました。

「姫の病気を治す薬を知らないか?」

家来は答えます「サルの肝がよく聞くそうです」

竜王様は困ります「しかし、海にはサルがおらんじゃろう」

すると亀がいいました「それでは私がサルを連れてきましょう」

亀は陸を目指して泳ぎます。海岸に着くと一匹の猿が貝を取っていたので、亀はサルに話しかけました。

「サルさんや、竜宮城へいらっしゃいな」

サルは聞き返します「竜宮城で何をするんだい?」

亀は答えます「今日は乙姫様のお祝いをするんです。美味しいごちそうがたくさん出ますよ」

サルは聞き返します「でも龍宮城は海の底で、とっても遠いんでしょ?」

亀は答えます「私の背中に乗ればすぐですよ」

サルは安心して「そっか。では行ってみましょうか」と、亀の背中に乗って海の中を泳ぎだしました。

 

しばらくすると竜宮城の門につきました。

「準備をしているのでここで少し待っていて下さい」そう言って亀は竜宮城の中に入りました。

サルは門番のクラゲに話しかけました。「今日は乙姫様のお祝いなんだってね」

クラゲは答えます「そうです。乙姫様の病気を治すお薬が手に入ったお祝いです」

サルは聞き返します「乙姫様のお薬って何なのさ」

クラゲは答えます「なんでもサルノキモという、とっても珍しお薬だそうですよ」

間抜けなことにクラゲは余計なことまでペラペラと喋ってしまいました。

それを聞いたサルはびっくりして、このままではお腹を切り開かれて肝を引っ張り出されると思い、なんとか逃げ出そうと考えました。

 

そんなとき、亀がサルを呼びに来ました。

「さあ、準備ができましたよ。さあこちらへどうぞ」

サルはこう言います。「あ、肝を木の上に忘れてきちゃった。」

亀は大慌てで聞き返します「え!肝をお忘れですか?」

サルは答えます「そうなんです。あー、雨が降ったら濡れるだろうなぁ」

亀は慌てて「それでは今すぐ陸に戻って肝を取ってくるとしましょう」

亀はサルを背中に乗せて大急ぎで陸へ向かって泳いでいきました。

「さあつきましたよサルさん、急いであなたの肝を取ってきてくださいな」

サルは亀の背中から降りると一目散に逃げていきました。「やーい、騙されるもんか!二度と竜宮城には行かないぞ!」

龍宮城に戻ってきた亀からクラゲがサルに全部話しをしてしまったと聞いた竜王様は、「おしゃべりクラゲのせいで台無しだ!」とカンカンに怒ってしまいました。

そして竜王様はクラゲの皮を剥いで体の骨を全部抜いてしまいました。

クラゲに骨がなくてグニャグニャしているのはこのためだったのです。

おしまい。

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