困ったときこそ考えるチャンス

2022年4月13日

3月からいよいよ新しいお部屋での生活が始まります。子ども達が不安に感じたり、疑問に思ったときには保育士やお兄さん・お姉さんたちが支えてあげたり、教えてあげてスムーズに新しい環境に馴染んでいきます。

子どもにとっては誰かに「教えてあげる」経験はとても誇らしく、嬉しいものです。その気持ちが先走ってしまって、何でもかんでも「やってあげる!」となってしまうこともありますが、大人が「教えてあげる」時には少しだけ「待つ」ことも大切です。

子どもが困ったときに大人がすぐ助けてしまったり、全て先回りして困らないようにしてしまうと、子どもが自分のアタマで考えるチャンスを無くしてしまいます。

子どもの「困った」のサインが出たら、まずは困っている気持ちを受け止めます。その後で、「どうすればいいと思う?」と聞くと、子ども達は「うーん・・・」と悩んで「こうすればいいん?」と自分なりの答えを出してくれたり、「わからん!」とあっさり諦めてしまったりします。この1ステップを繰り返すことが子どもが自分のアタマを使って考えられるようになるためには大切です。

「困った」ときに自分のアタマで考える習慣を身につけることは、今のように目まぐるしく状況が変わる時代に大切なことだと考えています。「自分のアタマで考えた」のであれば、その結果失敗しても、次に成功するためにどうすればよいかも考えられるようになります。自分で考えてうまくいったのであれば、人から教えてもらってうまくいったときより、何倍も嬉しく感じます。

保育園で「自分のアタマで考える」を繰り返すことで、子ども達が大人になったときに、困った状況を乗り越える力になれば良いなと考えています。

保育園に限らず、近年の子ども達には「自分で考える」「自分で試してみる」という経験が少なくなっているような気がします。

親の立場からすると「子どもが危ない目に遭わないように」といろいろ先回りしてやってあげたくなる気持ちはよくわかります。自分自身も我が子が怪我をしそうになったら先回りして止めに入ることがあります。そんなとき、「ああ、せっかく怪我する経験が出来たかもしれないのに。。。」と後から思うことはあります。

大切な我が子が辛い目に遭う姿を見たくない、という気持ちを意識的に抑えないと子どもが考えるチャンスを奪ってしまいかねません。大人は先のことが予測できるので、子どもがそのまま行動を続けても深刻にならないことが予測できるのであれば、できるだけ経験させてあげたほうが良いのだと思います。

「あー、このまま行くとコケるなぁ」と思いながらコケるのを見守るとか、なかなか精神的に疲れるものですが、それが将来子ども達が大きな失敗をしないための土台になっていると思いながら続けています。

一昔前であればそんな風に子ども一人ひとりに目が向かなかった時代もありました。大人の数に対して子どもの数が多かったこともあり、大人の目に触れない「子どもだけの世界」がたくさんありました。「子どもだけの世界」ではひとりひとりの子どもが自分の責任で行動し、自分の責任で行動の結果を受け容れます。受け容れられないときや自分一人で受け入れるにはエネルギーが足りないときには「子どもだけの世界」から大人もいる世界に戻ってきて、しっかりとエネルギー補給をします。気が向けばまた「子どもだけの世界」に行くでしょうし、今日はもうやめた、と大人もいる世界に残るかもしれません。

子どもだけの世界が段々と少なくなり、大人の目が届く世界が広がってきた結果、子どもが自分で経験して、子どもが自分の行動の責任を自分で取る機会が減ってきています。大人の方が意識して、子どもたちの貴重な経験を無くさないようにすることが大切だと思っています。

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