失敗した!は悪いこと?

保育園での生活では様々なことが起きます。子ども同士での遊びが盛り上がりすぎて、保育園のものを壊してしまったり、お友達に自分の思いを表現する中で相手の子どもを傷つけてしまったりすることも少なくありません。

年齢や発達によっては壊したり傷付けたりしてはならないと理解できるときもありますが、保育園ではそれがまだ理解できない(または理解できていても行動を制御しきれない)段階の子どもたちがたくさんいます。

子どもたち一人ひとりの状況に合わせて何をどこまでやらせるのか、つい壊してしまったりしたときにどういう言葉がけをするのかは、職員全員が考えていかなければならないことです。

子どもの気持ちになりきってみる

「ものを壊してしまった」とか「お友達を傷つけてしまった」とき、子どもたちはどんな気持ちなのでしょうか。

 

状況や子どもにもよりますが、ばらぐみの子どもたちであっても「しまった」というような気持ちになっているように受け取れます。もちろん私が見た子どもの表情などからそのように想像するだけですが、周囲の人の表情や言動を見て「あれ、これはいけないことかな?」とふと立ち止まるような表情をする子どもたちがたくさんいます。

言葉やルールを十分に理解できていない月齢の子どもたちであっても「しまった」と感じることがあるのだとすれば、そんな感情を持っている子どもたちに対してどんな言葉がけが良いのでしょうか。

ここでは「壊してしまった」とか「お友達を傷つけてしまった」を「失敗した」と表現してみます。「失敗した」と子どもたちが感じているときに、子どもたちは「しまった」という表情をしたり、感情を抱いたりしているとします。そのときに大人が「なんでそんな事するの!」や「○○したら駄目じゃないの!」と怖い表情や怖い声のトーンで言ってきたとしたら、子どもたちは自分の感じている「しまった」に大人が追い打ちをかけるように感じているのではないでしょうか。

出来ることなら子どもが「しまった」と感じている時には、「それは私が困るからやめて欲しい」「お友達は傷つけられて悲しいと思うからやめて欲しい」と落ち着いて話をしてあげたいと思います。

 

大人の立場から考えてみる

保育園の職員に限らず、大人一般として子どもが物を壊してしまったり、お友達を傷つけてしまった時には思わず声を荒らげてしまったり、きつい言葉で注意してしまうことがあります。それ自体は必要な時があり、全て禁止することが良いわけではないと思います。

例えば子どもに危険が及ぶ行動については大きな声で制止したり、緊急を要する時には鬼気迫る表情や言動が必要になります。それは悪いことではないと思います。

また、ご家庭であれば家族が大切にしているものを壊されてしまった時には大人も悲しい気持ちになりますし、その気持ちから感情が高ぶって言動がきつくなる事があると思います。その感情を無理に押し殺す必要はないと思います。

 

何のためにするのか

感情が高ぶっている時には声の大きさを抑えたり、言葉を選んだりすることは難しくなります。特に大人の側に余裕がなければ、なおさら難しくなります。

そして、「子どもたちにはものを大切にしてもらいたい」、「お友達と仲良くしてもらいたい」という大人側の願いもあります。その大人の願いを聞いてもらいたい、大人の願いに反している行動はやめて欲しいという考えから、きつく「叱る」ということもあるでしょう。逆に大人の願いに沿った行動を繰り返して欲しいということから「褒める」こともあるかもしれません。「褒める」こともやりすぎると、大人の顔色ばかりを伺う子どもに育ってしまう危険もあるため注意が必要です。

もし、大人の願いを子どもたちがすんなりと聞き入れてくれるのであれば、大きな声や怖い顔は必要ないはずです。ですが、子どもたちはそれが出来ない(現在の子どもの発達段階では聞き入れることが出来ない、または、子どもが受け入れたくないから聞き入れない)ときがあります。それを理解しておくことが、大人の側に必要なのだと思います。

 

子どもたちと関わる大人は、子どもたちが今の生活を楽しみながら、将来素敵な人生を歩むために必要な力を育てて欲しいと願っていると思います。そのために、「叱る」こともあれば、「褒める」こともあるのだと思います。

子どもたちに今の生活を楽しむために、将来素敵な人生を歩むために必要な力を育てるために、どうするのが良いのかを常に考えて、子どもたちの今できることをしっかりと見つめて適切な関わりをすることは、保育園の職員全員に求められることだと思います。

 

そのために、当園の職員には須賀義一さんの受容と信頼関係の保育に関する研修を受けてもらい、「叱る・褒める」とは異なるアプローチで子どもたちを育てる方法を身につけてもらっています。この受容と信頼関係の保育をすぐに身につけることは難しいのかもしれませんが、毎日の保育を振り返り、日々試行錯誤を繰り返すことで少しずつでも出来るようになるものだと思います。

 

きげんよく過ごせる保育園に

子どもたちが失敗することそれ自体は悪いことではないと思います。その「失敗」を繰り返す中で、みんながきげんよく過ごせるようにするためにはどう振る舞えばよいのかを子どもたち自身が学んでいきます。

また、子どもたちが疲れや退屈などから思う存分遊べなくなるときげんが悪くなるので、しっかりと遊べる環境を用意していくことも大切です。

仮に「失敗」してしまったとしても、頭ごなしに「叱る」のではなく、しっかりと思いを受け止めてもらい、どうすればよいのか考える時間を与えられることで子どもたちが育っていくのだと思いますので、まずは子どもたちの「失敗」を受け止められるように、大人側にしっかりと余裕を持って保育が出来るように環境を整えていこうと思います。

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