きげんのいい子どもに

目次

平成31年(2019年)4月より、姫井保育園の園長となりました、水野勝文です。

ホームページをリニューアルし、園長コラムでは園長として保育園が何を大切にしているのか、姫井保育園の保育目標「きげんのいい子どもに」を私なりの言葉で皆さんにお伝えできればと考えています。

 

 

保育目標「きげんのいい子どもに」

姫井保育園の保育目標は「きげんのいい子どもに」です。

どこの保育園でも保育をするときに大切にしていることや考え方を「保育目標」や「保育方針」として定めています。姫井保育園の保育目標は「○○が出来る子」や「○○する子」ではないため、この保育園で子どもが生活すると、どんなふうに育っていくのか?が少し分かりにくいかもしれません。

 

最初の園長コラムなので、私が考える「きげんのいい子どもに」をお伝えできればと思います。

 

「きげんがいい」

前園長の最後の園長コラムでもお伝えしていましたが、「子どもがきげんのよい状態にある」とは心が元気であること、つまり心にエネルギーが満たされていること、心のエネルギーを十分に発散出来ることだとしていました。

子どもの心のエネルギーを満たすためには、子どもにとっての「安心・安全基地」となる大人の存在が身近に感じられることが重要になります。子どもが怖い思いをしたり、不安になったり、辛い思いをしたときにしっかりと甘えられる存在がいることが重要になります。

自分のことを大事だと考えてくれる大人が身近にいること、辛い時や苦しいときに甘えさせてくれる経験をすること、子ども自身の「やりたい」という気持ちを暖かく見守ってくれていることが、子どもの心の元気を充実させ、また少なくなってしまった心のエネルギーを回復させるために必要です。

 

そして、満タンになった心のエネルギーをしっかりと発散するためには、子どもが五感をフル稼働して「遊ぶ」ことが出来ることが必要になります。子ども自身が「やりたい!」「楽しそう!」という意欲に突き動かされて遊び始め、その遊びに満足するところまで徹底的に遊びこむことが出来ると、心のエネルギーがしっかりと発散されます。

満タンになった心のエネルギーが空っぽになるまで遊びこんだ経験を少学校に上るまでにたくさん経験できた子どもは、大人になってから自分の人生を幸せな人生に出来ると言われています。

 

めざすもの

姫井保育園の子どもたちがしっかりと心にエネルギーを満たし、そのエネルギーが空っぽになるまで遊び込めるようにすることが大切だと考えています。

そのためには、子どもたちが安心して生活できるように環境を整えることや、子どもの発達に応じた遊びが出来るように工夫することがとても大切です。

 

受け入れてもらえる経験を豊富にする

「○歳までに○○が出来ること」というような「出来ること」を基準に子どもたちを見るのではなく、その子その子どんな気持ちでいるのか、何をしたいと思っているのか、その子その子の発達に応じて「おせっかいにならない援助」はどうすればよいのかを常に考えて行くことが大切だと考えています。子どもたち一人ひとりと向き合い、まずは気持ちを受け止めて、そのまま子ども自身の思いを優先したり、大人としての思いを伝えていったりすることが大切だと考えています。

 

多数の大人が暖かく見守る

一人の保育士が担当する子どもの数は多いときには20名にもなります。いつでも丁寧な関わりが出来るのが理想だと思いますが、実際には多数の子どもたちを少ない人数で見なければいけないため、常に完璧な関わりが出来ないのが実情です。これに関しては時間をかけてどうすればより理想に近づけるのかを常に問い続けなければならないと考えています。

子どもの年齢や発達段階によっても異なりますが、特に月齢の低い子ども、他者との関わりが始まる時期の子どもと関わる保育士を出来るだけ手厚くして、子どもの安心できる生活を確保したいと考えています。

 

子どもを信じて待つ

この世界に生まれてきたすぐの赤ちゃんは自分の欲求だけを全力で、それこそ死に物狂いで主張します。そこからだんだんと親や身近な大人、自分を守って愛してくれる人に対して甘えたり、わがままを言ったり、「イヤイヤ」と意思表示をしたりして成長していきます。

保育園は集団生活の場なので、子どもの欲求だけを優先していては、毎日の生活が破綻しかねません。一方で、子どもたちの欲求に応えないで、「大人の都合」だけを優先することは避けなければならないことだと考えます。仮に言葉での意思表示が出来ない月齢の子どもであっても、一人の人として尊重して関わっていかなければならないと考えています。

これまでに多くの子どもたちを見てきた保育士は、「今は”イヤイヤ”と言っていたとしても、いつかはこちらの言うことを理解してくれる」、「今は言うことを聞かなくてわがままばかり言っていたとしても、いつかは進んでみんなのために動いてくれる」ということを知っています。大変なことも多いと思いますが、子どもが自らの力で育ち、変わっていくことを信じて待ちたいと考えています。

子どもたちが変わるまでにどれだけ時間がかかるのかは誰にも分かりません。それまでは集団で生活するために、ある程度子どもの欲求と反することもしなければならないかもしれません。ですが、子どもを信じて待つこと、子どもの思いをしっかりと受け止めた上で、大人の都合を伝えていくことを繰り返していかなければならないと考えています。

 

子どもたちが主役

季節の行事やイベントなどは子どもたちにとってとても楽しみな活動です。同時に保護者の皆様にとってもとても楽しみにされているものと思います。その行事をどう作り上げていくかは、子どもたちが最大限に「楽しい」と感じるときに本番を迎えられるように、練習したり作り上げたりしています。

発表会や運動会のために何ヶ月もかけて毎日練習すれば、見ている側が感動するものをお見せすることが出来るかもしれません。ですが、姫井保育園ではそこを目指さず、子どもたちが「一番楽しんでいる状態」をお見せしたいと思っています。そして、本番が終わってからも、その時の「楽しかった」という気持ちを何度も経験できることが出来ることが大切だと考えています。

子どもたちの生活は毎日同じようで違う日々です。行事や年度替わりのタイミングで節目があるように感じられますが、子どもたちにとっては連続した毎日です。その連続した日々の中で「昨日はこれをやって楽しかったから、今日はこう工夫したらどうなるだろうか」や「他のグループがやっていたことをやってみたいから、明日やってみよう」というように、次々と意欲を刺激され行動が変わっていきます。保育園は毎日通う場所であり、いつものメンバーと会える場所としての保育園では、このような連続した日々を大切にしたいと思っています。

 

子どもを真ん中にする

保育園と保護者・ご家庭の皆様との間で「一緒に子育てをする」という気持ちでいたいと思っています。

保育園で子どもたちが生活している様子は、保護者の皆様からは見えにくい世界です。我が子はどんなことをしているのだろうか、元気に遊んでいるだろうか、辛い思いをしていないだろうかなど、保護者の皆様は様々な気持ちを持たれると思います。そんなときにはぜひ担任などに保育園でのお子さんの様子を聞いてもらいたいと思っています。

また、保護者の皆様からもご家庭での様子を聞かせてもらえることは、職員にとっても新しい気付きをたくさんいただけるとても貴重な機会です。朝の忙しい時間やお迎えの時間ではゆっくり話をすることが難しいかもしれませんが、ご家庭でのエピソードを聞けたときは、とてもあたたかい気持ちになれるので、子どもを真ん中に楽しい会話が増えていけばいいと考えています。

 

みんなの居場所になる

子どもを真ん中に職員と保護者の皆様が一緒に話が出来ることは、保育園が「みんなの居場所」になることだと考えます。保育園が「みんなの居場所」になれば自分の子どもだけに限らず、自分の子どもとそのお友達、そのお友達の保護者というようにどんどんと人のつながりが広がる場所になっていくのではないかと思います。

お子さんの送迎の後、お子さんが園庭で遊ぶ様子をベンチに座って見ながら相席した人同士で話をしたり、保育参加をしてお子さんとそのお友達の様子も一緒に見ていただいたり、お子さんからお友達の様子を聞いてみたりと、子どもを真ん中にして、大人にとっても居心地の良い、「みんなの居場所」になれば良いと考えています。

 

職員が健康で元気

子どもたちが思い切り遊ぶエネルギーに付き合う保育士は朝から夕方まで目が回るような中で生活をしています。そんな保育士が疲労困憊でエネルギー不足になってしまったら、子どものエネルギーを発散する機会が少なくなってしまうかもしれません。そういう理由で職員には「しっかり休んでしっかり働く」ことをお願いしています

姫井保育園の職員はほとんど毎日のように誰かがお休みを取っています。お休みを取って私生活を充実させ、職員自身のエネルギーを蓄えてから職場に戻り、子どもがエネルギーをすべて出し切ることができる環境を作ること、つまり子どもたちが「きげんよく」生活するための仕組みを作っているのだと理解していただければと思います。

 

大人も子どももきげんよく

たくさんのことを書いてしまいましたが、保育園に関わる大人も子どもも、みんなが「きげんのいい」ことが、私の一番の願いです。

今すでに出来ていることもあれば、今はまだ不十分なこともたくさんあると思います。出来ていないことを改善するためには時間がかかるかもしれません。様々な方からの意見を真摯に受け止め、園長として今後の保育園がもっと居心地の良い場所になり、保育園に関わる大人も子どもも「きげんよく」過ごすことが出来るように最大限の努力をしたいと考えています。

至らないところもあると思いますが、よろしくお願いいたします。

 

園長 水野勝文

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