2020年10月5日の素話(わらしべ長者・三枚のお札(省略版))

今日は子どもたちから「昔話が聞きたい」や「山姥の話が聞きたい」というリクエストに応えてみました。

どちらも昔からよく聞いたことのあるお話です。わかりやすいお話なので、ぜひご家庭でも試して見られてはいかがでしょうか?

三枚のお札は山姥から小僧さんが逃げ帰ったあと、和尚さんとの一件がありますが、今回は長くなるので省略しました。

わらしべ長者(たんぽぽグループ)

昔むかしある男の人がお寺に行って観音様にお参りをしました。

「私には親も兄弟もなく、お金も殆どありません。この先、生きていくにはどうすればよいでしょうか?」そうすると、観音様が現れて、こう言ってくれました。

「お前はここから出て初めに手にしたものを大切に持っていくのが良いだろう」男の人はその言葉を聞いたあとお寺を出て街に行くことにしました。お寺を出た途端、道端の石に躓いて転んでしまいました。その拍子に一本のわらしべを掴みました。

「これが観音様からの授かりものか」

男の人はそのわらしべを大切に持っていきました。しばらくすると、一匹のアブが飛んできました。男の人はアブを捕まえてそのわらしべに結びつけました。わらしべの先ではアブがブンブン飛び回っています。

そこへ子どもを連れた母親が通りかかりました。子どもは男の人のわらしべを見て「あの虫がほしい~」と駄々をこね始めました。

母親は申し訳無さそうに、「そのわらしべを譲っていただけませんか?」と頼まれたので、男の人は「これは私にとっては大切なものですが、そんなに欲しければ差し上げます」と母親にあげました。

母親や「お礼にこのミカンを3つ差し上げます」とみかんを3つくれました。

わらしべがみかん3つになりました。

そのまま歩いていくと、今度は若い女の人が歩いていました。女の人はとても疲れているようで「のどが渇いて死にそうです。お水をいただけませんか」と男の人に聞いてきました。

男の人は「水は持っていませんが、みかんならありますよ」とみかんを女の人に上げました。女の人はお礼にきれいな着物を作る布をくれました。

みかん3つが着物を作る布になりました。

更に歩いていくと一人の商売人が困っていました。どうやら馬が弱ってしまって倒れてしまったそうです。

男の人は「この着物を作る布と馬を交換しませんか」と話しかけると、商売人はとても喜んで交換してくれました。

着物を作る布が馬になりました。

男の人は馬を優しく世話してあげると、馬はすぐに元気になりました。

馬を連れて暫く歩くと一軒の家の前につきました。その家は引っ越しの真っ最中でした。ところが、荷物を運ぶ馬が足りなくて困っていました。

「その馬を譲ってもらえませんか、代わりにこの家と田んぼを差し上げます」といってもらったので、男の人は馬と交換に家と田んぼをもらいました。

男の人は真面目に働いたので、村一番の大金持となりましたとさ。

初めに拾ったわらしべがみかん3つになり、きれいな着物を作る布になり、馬になり、最後は家と田んぼになって大金持ちになったんだって。

三枚のお札

昔々、あるところにお寺があって和尚さんと小僧さんが暮らしていたんだって。

春になって山にはウドやらワラビやらフキやらの山菜がたくさんできるようになったんで、小僧さんは「和尚さん、山で山菜をとってきます」と出かけようとしたんだって。
すると和尚さんは「小僧さん、山には山姥がおるからな。山姥も今は山菜を取りに来てるから、よーく気をつけるんだよ。そうだ、この魔除けの札を3枚持っていきなさい」と御札を3枚くれました。

「いいかい、この御札は困ったときにお願いを唱えながら使うんだよ」と教えてもらい、小僧さんは山へ山菜採りに行きました。山に入るとあたり一面ウドやらワラビやらフキやらの山菜がたくさんありました。山菜採りに夢中になっているうちに、小僧さんは帰り道がわからなくなってしまいました。

「困ったなぁ」と言いながら歩いていると、一軒の家が見えてきました。小僧さんが家の戸を叩くと、中から優しい顔のおばあさんが出てきました。

「おー、小僧さんよう来たな。わたしゃあんたのおばあさんだよ、さあ、うちに上がんなさい」と言います。小僧は驚いて「いや、あんたみたいなおばあさんは知らないよ」と答えますが、おばあさんは「もう忘れちゃったのかい?あんたが赤ちゃんのときには抱っこしてあげたり、おむつを替えてあげたんだよ」「まあそんなことはどうでもいいよ、お腹すいただろう、ごちそうがあるんだ、上がってご飯でも食べていきなさい」と言われ、小僧さんはおばあさんの家でご飯を食べることになりました。

小僧さんが一口食べるとそれはそれは美味しくて、あっという間におかわりもしてお腹いっぱいになってしまいました。

お腹がいっぱいの小僧さんはだんだん眠くなってきて、そのまま奥の部屋の布団でゴロンと昼寝をしてしまいました。

しばらくして目を覚ますと隣の部屋で恐ろしい顔の山姥が包丁を研いでいます。

「今日はうまそうな小僧が手に入った。鍋に入れてグツグツ煮て食おうか、手足を縛ってジリジリ丸焼きにして食おうか、ああ、待ちきれない」とよだれをダラダラこぼしながら包丁を研いでいます。

小僧はすぐに逃げ出そうと思って「おばあさん、ちょっとおしっこに行きたいんだけど」というと、おばあさんはさっきの優しい顔に戻って「この縄を腰に巻いて行くといいよ。危ないからね」といい、きつく縄を縛り付けました。

小僧さんはなんとか縄をすり抜けて便所の柱に縄をくくりつけました。そして、その縄に御札を1枚挟んで、「あの山姥が俺のことを読んだら「まーだだよ」と返事をするんだよ」とお願いをして逃げ出しました。

山姥は「おーい、小僧さんまだかい?」と聞くと便所からは「まーだだよ」と返事がします。しばらくしてまた山姥が「小僧さんまだかい?」と聞くと、またまた「まーだだよ」と返事がします。

おかしいなと思った山姥が縄をぐいと引っ張ると、御札がついた便所の柱がすっ飛んできました。

小僧さんが逃げたので、山姥は必死に追いかけました。山姥はガサガサ・ドスドスと恐ろしい音を立ててものすごい速さで追いかけてきます。

「こーら小僧!待たんか!」と山姥が小僧の首根っこをつかもうとしたその時、小僧は2枚めの御札に「大きな川出てこい!」とお願いをして後ろに御札を放り投げると、山姥の足元に大きな川が出てきて、あっという間に山姥は流されてしまいました。

ホッとするのもつかの間、小僧さんの後ろからまた、ガサガサ・ドスドス「こーら小僧!逃さんぞ!」という声が聞こえてきます。小僧さんも一生懸命逃げますが、山姥の走るのはとっても早いので、あっという間に追いつかれてしまいます。

小僧さんは「大きな砂山出てこい!」とお願いして御札を1枚後ろに放り投げました。すると、とても大きな砂山が山姥の目の前に現れました。

山姥はなんとか砂山を登ろうとしますが、次から次へと砂が流れてくるので、山姥はなかなか登ることができません。気がつくと山姥の後ろにはさっきの川が流れています。砂山をズルズル滑り落ちていく山姥はついに大きな川に砂山ごと流されてしまい、そのまま戻ってくることができなかったそうです。
こうして小僧さんは無事に帰ることができたんだって。

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