子どもの中の「育つ力」

新型コロナウイルスの影響で日々の保育にも影響が出ています。また、保護者の皆さんもお仕事の都合をつけてお休みを取り合ったりして頂いているかと思います。保育園は子どもたちが生活する場なので、出来る限りいつもと同じようにゆったりとした時間が流れるようにしたいと思っています。

様々な感染症が毎年流行しますが、今回は全国的な緊急事態の一環として、特別な対応を取らざるを得ませんでした。そのため、卒園式や入園・進級式の形態を例年と違う形にするなど、保護者の皆様にとっても残念に思われる部分があったかと思います。一日も早く平穏な日々が戻ることを期待しています。

また、今年度は過去に無いほどの猛烈な台風に見舞われたり、記録的な暖冬だったり、新たな感染症の驚異にさらされたりと、これまで当たり前と思っていたことが、あっという間に当たり前ではなくなってしまうのだと強く感じました。

世の中の動きをしっかりと捉えつつも、子どもたちが生まれたときから持っている「育つ力」が十分に発揮できるように、保育園としてできることをやっていきたいと思います。

子どもがきげんよく過ごすことが出来るためには、子どもたちを暖かく見守る大人が身近にいること、子どもたちが自分の中の「育つ力」を思う存分発揮できること、子どもたちが不安になったり、悲しくなったりした時に、安心・安全基地となる大人のもとでしっかりと甘えてエネルギーを補充できることなどが必要です。

また、自然の中で五感をたくさん刺激されること、特に視覚以外も含めたたくさんの種類の刺激を受けることが大切です。

保育園には木登りの出来る木があったり草スキー場や崖登りができる場所があったりと身体を思い切り使って遊ぶことが出来ます。全身を使って遊ぶことはバランスの良い脳の発達にも良い影響を与えます。

子どもたちの心が育つためには、子どもたちの興味のあることや子どもたちが挑戦したいと思っていることを満足するまで出来ることが大切です。保育園は集団生活なので、子どもたちが満足しきれないままで次の活動に移らざるを得ないときもありますが、フリーの職員が一人の子どもに付き添って思う存分遊びこめるように工夫するようにしています。

園庭のスイングロープや登り棒、冒険の森にある木登りや子ども砦などは近ごろの保育園では見られないほど高さのある遊具です。子どもたちには「大人がついているときにしかやってはいけない」とか、「たんぽぽにならないとやってはいけない」とか、危険な遊具の約束事をしっかりと伝えてあります。

スリルのある遊具は子どもたちの「やってみたい」という気持ちを刺激します。「やってみたい」という気持ちは成長のための強力なエンジンです。子どもたちの安全には最大限配慮しながらも子どもたちの「やってみたい」に応えられるようにしたいと考えています。

姫井保育園では子どもの中の「育つ力」を思う存分発揮できることが大切だと考えています。行事や制作などの活動も子どもたちの「育つ力」をどうやって伸ばしていくかを中心に考えています。

大人にとっては出来上がった作品や目に見える演技などの「結果」のほうが、子どもたちが練習したり作業したりしている「過程」よりも、分かりやすくて理解しやすいので、ついつい「結果」で比較してしまいがちです。ですが、保育園の子どもたちにとっては、出来上がった「結果」よりも、何かの作業に没頭している瞬間や練習している瞬間瞬間を積み重ねた「過程」のほうが意味のあることだと、私達は考えています。

この他、異年齢保育やにじみ絵、素話、バイキング給食、畳での生活などなど姫井保育園の特色にはたくさんの思いや願いが込められています。ホームページでは過去の園長コラムをすべて見ることが出来るようになっていますので、ぜひ一度ご覧ください。

もう一言

保育園という場所は生活をしながら、今を最もよく生きるための力や将来幸せな人生を送るために必要な土台となる力を養っている場所だと毎日感じます。

子どもたちだけでなく、親もみんな、他人と一緒に生きていかなければいけません。他の人とどうやって生きていくのか、他人を貶めるような生き方もありますが出来ることならば他人と協力して一緒により良いところへいくようになれればと思います。

「自分を大切にされたことのない人は他人を大切にすることは出来ない」という言葉があります。保育園の子どもたちには生まれてまだ間もない時期から親以外の人(保育士や調理員、お友達)と一緒に生活する中で、自分を大切にされる経験を何度も繰り返して、他の人を大切にする方法を見つけていってもらいたいと思います。

この「他の人を大切にする方法」を見つけるためには、何か答えがあって、それを丸暗記すれば良いというようなものではありません。自分で試行錯誤を繰り返し、また、毎日違う環境の中で「こうやってみたらどうだろうか?」や「今回はうまくいかなかったな」という経験を無数に繰り返す中で経験的に学んでいくものだと思います。そして、その経験の基礎になるのは、周囲にいる大人たちの行動です。

子どもたちは真似をしながら成長していきます。真似をする対象は周囲の大人や子どもたちです。そして、自分の「好きな人」や「憧れる人」の真似をして学んでいき、成長していきます。

子どもたちに真似されても恥ずかしくないように、どのように振る舞えばよいのかを、私達職員も子どもたちから学ばされているように感じます。

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