2015年3月18日 第40号 おさかなクッキング
先月、毎年の慣わしになっている「魚クッキング」を保育園のホールでやりました。子どもたちの前で私がまな板に置いた魚を三枚におろし、先生たちが切り分けて、子どもたちが粉をつけ、ホットプレートでムニエルにして食べています。
こんなことを始めてもう10年近くになります。子どもたちに身近に現実の事物を感じ取ってほしいことの、ほんの一端ですが、今年のハマチは例年より大きくて、解体に少々手間取ってしまいました。今年の魚はかなり大きくて、切り離した頭を手に持ってにらめっこをしている子もいました。
魚を切り身にして食べるのは、結構手がかかるのだよと言えば一言で済んでしまいますが、年寄り園長が出刃包丁で苦労しながら魚の頭を切り落とし、身をはがし、皮を引いている姿に「へぇー」と思ってくれれば、まあいいかなと。これでうっすら指でも切って血が出れば、「おーっ、けっこうたいへんなんだぁ」と、もっと迫力があったのでしょうが、まあそこまでは出来かねる歳です。
体と心を自分で育て鍛えていくのが幼児期です。便利さや手軽さはそんな子どもにかえって良いものを与えないことが多いのです。
一見不便であれこれと手間暇がかかるかかる中で、知恵も意欲も育ちます。
いろいろなことやものを、生身で感じることの蓄積が、考えることの根になります。この根が薄いと知識を発展させる意欲や力が出てきません。
テレビ、ビデオは知識、感覚を得るには最も手軽で便利ですが、子どもに与えるには、配慮が必要だと言われ続けてきました。一方通行の安直さと手軽さには警戒が必要です。当園で、テレビを置かず、持ち物にキャラクターものをできるだけ避けてもらっているのも、子どもが映像世界に過度にのめりこまないようにしたいからです。
これからの季節は外遊びの天国です。子ども同士、生身の体で仲間と向き合い、自分をたくましく育てていく保育を目指していきたいと思います。
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