2004年12月27日 第17号 心の元気と食育
今年も残すところあと数日となりました。夏からの園舎の増築工事もやっと終わり、新年からは落ち着いた環境の中で保育できるようになってホッとしています。
また、先日のはっぴょう会にはお忙しい中をお越しいただきありがとうございました。
子どもたちを見守る保護者の皆様の暖かなまなざしと声なき声援に支えられて、どの子も皆一生懸命演じていたと思います。
「遊び」の時間を削らないよう、1週間という短い練習で作り上げた舞台ですので、出来、不出来はさておいていただき、たとえ舞台の上で立っていただけで終わったとしても「泣かないで出られて良かったね。」とか「来年はもっと上手に出来るようになるよ。」とか褒める一言、励ます一言をぜひお子さんにかけてあげてください。お父さん、お母さんのそんな一言がどれほどか子どもたちの心の元気を育て、次の成長のステップにつながるのだと思います。
さて、今回は心の元気と結びついた「食育」について少し書いてみます。
最近、総理大臣までが乳幼児期の食育が大切だと取り上げて言うくらい、テレビや新聞などで「食育」という言葉を見聞きするようになりました。
それだけ子どもを取り巻く食の文化や環境が衰えたり荒れたりしてきているからでしょう。ふんだんにあるおやつ、刺激的な味のスナック菓子、テレビを見ながらの食事など、子どもの食べる力を削いでしまうことが実に多くなったものです。昔に比べ明らかに子どもたちの食欲が減退し、いびつになってきているように思えます。
保育園では出来るだけ良い素材を使った栄養バランスの良い手作りの食事やおやつを、給食の先生たちが毎日頑張って作っています。また、月一回、私や主任、クラス担任なども交えて給食の先生たちと「食育会議」を持って献立の検討や子どもたちへの食育の進め方などを考えてきました。
ばら、ゆり、もも組の0歳から2歳児クラスは盛り付け方式ですが、つき、ほし組の幼児クラスは、昨年より好きなものを好きなだけ取って食べるバイキング方式になりました。
バイキング方式を始めてしばらくは、せっかくバランスよく手をかけて作られた食事が子どもの好みに任せては偏ったものになって身にならないのではないか心配だという声が聞かれました。しかし、今年の給食参観のアンケートを拝見しますと、多くの方がしっかり食べている様子に安心しました、と書かれていて、前向きに評価していただけるようになったとうれしく、励まされたことでした。
たとえ、つけあわせのレタスしか食べない日があったとしても自分の好みや選択を尊重し許されることで食事に対する心の元気がはぐくまれていくのだと考えています。
子どもは誰でも大人が思っている以上に親や先生から褒められるよい子でいたいと切望しているものです。嫌いな椎茸も食べなくてはいけないというのは百も承知なのですが、無理やり押しつけられたり、叱られるばかりでは気持ちはめげて、ひいては食事そのものが苦痛になってしまいます。嫌いな椎茸も食べられるようになるには、まず椎茸が嫌いだという自分が認めてもらえる、許されるという段階が大切です。「嫌いでもいいんだ。」と安心してやっと「ウーン、ちょっと食べてみようかな。」という勇気や好奇心、友達に負けたくない競争心などの意欲が生まれるのです。
自分の意思で食べることができて初めて、それが食べる楽しさ、うれしさ、ひいては自信にもなるのだと思います。小さいときから自分を信じる力を持てた子は幸せです。
また、紙芝居や絵本を通して、どの食べ物にはどんな栄養があってだからどれも食べなくてはいけないよと教える「食育」の方法もありますが、それよりも菜園で子度たちが自分で植えたり、収穫したり、時には調理して食べるという「体験」を大切にしています。
この夏には自分の手でもぎ取ったミニトマトやキュウリを、普段嫌いで食べられない子が「もう一切れ頂戴!」と友達と競うように手を出して食べていました。先日、農水省の人たちの指導でお米を精米して、炊いておにぎりを作って食べる「お米体験教室」を年長児のすみれグループが行いましたが、それもそういったところから進めたものでした。
食への意欲もまずは食べることの楽しさ、心の元気を育てることから始まるのだということが、子どもたちの姿を通して教えられる日々です。
年の暮れからお正月にかけて家族や親戚の方々が揃って食事をする機会が多い時ですね。できれば子どもたちもできるお手伝いをさせながら、作る楽しさ、食べる楽しさ、集う楽しさをご家庭でも味わっていただければ何よりの「食育」になるのではないでしょうか。「食」の不安が多いこの頃ですが、これからも子どもたちの健康な育ちのため保護者の皆様と共に考えてよりよい保育にしていきたいと思います。
今年一年間のご支援、ご協力、本当にありがとうございました。どうぞ皆様よいお年をお迎えください。
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