保育園の行事について

保護者の皆様にはお手紙でお知らせしましたが、3月の保育園の行事については、中止または規模を縮小して行うこととしました。

新型コロナウイルスへの対応として致し方ないことですが、可能な限り子どもたちには楽しみの多い生活をしてほしいと思っています。

子どもたちにとって、毎日同じような生活の流れを繰り返すことは、見通しを持って安心して生活するためにとても大切です。親と離れて子どもたちが不安を感じるときでも、いつもの先生がいつもの流れでいつもと同じように遊んでくれる場所が保育園なんだ、と子どもたちが思ってくれることは、子どもたちがきげんよくいるために大切なことだと思います。

一方で、保育目標でも謳っているように「四季折々の行事を取り入れ楽しみの多い生活をつくります。」としているのは、生活の中で意識的にも無意識的にも季節を感じるとともに、長年続けられてきた四季折々の行事を通じて、子どもたちが文化と触れ合う経験をしてもらいたいからです。子どもたちは遊びの中で様々なことを学んでいます。フィンランドの古いことわざに「喜びなく学んだことはすぐに忘れてしまう」というものがあるそうです。子どもたちは遊んでいるようで学んでいます。そして学びを深いものにしていくためには楽しんだり喜んだりすることがとても大切なのだと考えます。

四季折々の行事が生まれた背景には様々な理由があります。現在の生活の中ではなかなか理解しにくい部分も多いのですが、行事を楽しむ中で心や記憶の中に少しずつ文化が積もっていきます。いずれ大人になった時に自分たちの文化に自信を持てる人になり、また自ら文化を作り出していけるような人になってもらいたいと思っています。

行事として長く続けられているものには「特別さ」があります。その時だけの特別な出来事だから体験できると嬉しかったり、そのときだけ食べるものだから特別なものが食べられて嬉しいというように、行事には喜ぶことがたくさん隠されています。

もちろん楽しいだけではない行事もあるのですが、保育園の子どもたちにとっては楽しみながら行事を体験していくことは、将来大人になった時に人間的な底力として生きていくのだと信じています。

すみれグループの子どもたちにとっては小学校の訪問を中止せざるを得なかったことは大変残念です。小学校で出会うお兄さんお姉さんの姿は、保育園で「憧れ」の対象となっているすみれさんたちに「軽いショック」と「憧れ」を感じさせてくれる貴重な経験です。自分もあんなふうに立派になれるのだろうか、あんなふうに学校で勉強するのだろうかと不安と期待の入り混じった素敵な感情になれる機会なので、出来ることなら実施したかった行事です。

小学校に行く際には電車に乗ったりバスに乗ったりする予定でした。また、小学校にも迷惑がかかる可能性が考えられたので、今のタイミングで公共交通機関を利用させることはリスクが高いだろうと判断し、中止とさせていただきました。

茶話会は至近距離で会話をする時間が長くなります。すみれグループの最後の行事であり、出来ることなら実施したいところではありましたがすみれグループの子どもたちが最後まで健康に過ごして卒園していくことこそがいちばん大切だろうと考えて中止としました。その代わりに園庭など広い場所で保護者同士、子ども同士が話のできる時間を取って、思い出を作ることが出来るようにと考えています。

保育園では保護者の皆様と一緒に子育てをしていきたいと思っており、卒園式はお子さんの一生に一度きりの貴重なイベントなので、これについては予定通り実施したいと考えています。卒園式が近づきましたら、別途ご案内をさせて頂く予定ですが、新型コロナウイルスの状況は日々変わっています。予定通りに進まないこともあるかもしれませんが、ご了承いただければと思います。