2011年5月17日 第33号 「きずな」を育てる

2019年5月27日

今年も新緑と藤の花が美しい季節になりましたが、3月の東北大震災被害がいまだにさまざまな影を落としている5月です。

このたびの震災で私たちが考えさせられたことの一つに、人と人とのきずながあります。

我が国はかつて世界が目を見張る高度成長を遂げ豊かさを得ましたが、その中で失ったものもあるとよく言われてきました。たしかに豊かになることで乏しい中での助け合いが要らなくなり、面倒な人間関係はごめんだと、「無縁社会」といわれるような人間関係しか取り結べなくなってしまったようです。

ですが、震災後の復興作業の中で、失いかけた人と人とのきずなが新たに見直され、温かい社会に向かおうとする気配が感じられるのはうれしいことです。

先日、保育園の旦西地域で「お大師さま」の行事がありました。町内会や個人のお宅でお祭りしている弘法大師像にお供えをしたりお接待のふるまいをする古くから続いている伝統行事です。毎年数か所から呼んでいただくので、年長のすみれグループが園外散歩がてら伺ってお菓子を頂いて帰ってきます。

また保育園の方からは「みどりの森広場」という地域のお年寄りとの交流事業を続けてきました。園児と一緒に菜園で玉ねぎの苗植えやイモ掘りをしてもらったり、夏祭りを楽しんだり、発表会の総練習を見てもらったりしています。その中にはかつてこの保育園を卒園され今年で94歳の方も元気で参加しておられます。

この園は戦前の開園から今年で89年になりますが、地域の方々に見守られ支え合いながらの歴史の中で保育園も育ってきたように思います。そして地域の目に見えないきずなが子どもたちの心の奥底に人や社会への信頼感を育てる力になってくれるようにと願っています。

幼児の時代に育つもっとも大切なことは人への親和力、関わり合う力です。

自分を大切にしながら、周りの人と喜び、悲しみを分かち合って一緒に生きていくことを喜びにできることです。そのためには、子どもに様々な人々との暖かな交流を体験させてあげることがなにより必要な時代になってきたようです。

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