2008年10月8日 第27号 食の安全と食育

2019年5月27日

10月に入って、残暑も遠のき、急に秋めいてきました。夏を過ぎて一回りたくましくなった子どもたちの食欲もこれから一段と増してくる季節です。

ところが、このところ中国製冷凍ギョウザによる中毒、数々の食品偽装、食用に売られた事故米やメラミンの混入した牛乳が出回るなど、食材の安全にかかる事件が立て続けに起きています。業者のモラルの低下と監督官庁のおざなりな姿勢を見るにつけ、消費者が賢く自衛するしかないのかと痛感しています。

ご家庭でも食材の安全については、何かとご心配のことと思います。

保育園では毎月1回、調理担当者と各クラス担任、主任と私とが「食育会議」を行っています。『おいしく、たのしく、マナーよく』という園の食育方針に従って翌月の献立の検討やクッキング保育の打ち合わせ、また時々の食事の問題を話し合っています。

食の安全は、何にもましての大前提ですから、狂牛病問題以降、給食やおやつの食材は安全第一ということで、まだまだ不安の多いアメリカ産牛肉や中国産野菜は使っていません。また社会問題になったものに限らず、添加物が多用された食材や、冷凍加工食品も使わないようにしています。

小野の「しんあい農園」から地面を歩いて育った鶏の卵を配達してもらったり、出汁は昆布やいりこから取った天然出汁を使い、コロッケやハンバーグ、春巻きなど手のかかるものもすべて手作りを心がけています。

安全でおいしいだけでなく、家庭から離れた保育園の食事には「たのしく」も大事なことです。嫌いなものを強要されない、のべつ注意を受けない「たのしい食事」が食欲の幅を広げていきます。

食べ物の中に嫌いなものがあるのは当たり前のことで、まずそのことが認められて初めて、嫌いなもの、苦手なものに挑戦してみようという意欲が生まれてくるのです。

園内に2カ所の菜園を作り、たまねぎ、じゃがいも、さつまいもなど、子どもたちと一緒に苗植えや水やりをし、収穫します。夏にはプランターできゅうりやミニトマト、ピーマンも作ります。

毎月一回、3歳以上の幼児クラスではサラダやパン、お団子、クッキーなどを作るクッキング保育を行っていますが、そうして収穫した野菜も食材に使っています。育てた作物への親近感で、苦手意識がクリアーできてしまうのが、手作り菜園のいいところです。

10月には、私も子どもたちの前で50センチ以上ある大きな魚を丸ごと一匹、最初からさばいて見せる「お魚クッキング」をしています。その場でバター焼きをして子どもたちと一緒に食べるのですが、普段魚の嫌いな子どもも何も言わなくても全部きれいに食べてしまい、後には一切れも残っていません。

嫌いなものを無理矢理強制したり、知識だけの栄養教育をするのではなく、友だちとの楽しい食体験を通して、いつしか色々な食材を食べられるようになることが幼児期には大切ではないかと考えます。

魚に包丁を入れると、「魚がかわいそう」という声が聞かれることがあります。

肉も野菜も食べ物は全て、生きていた命をいただくのだということを自然のうちに知って、だからこそ残さず粗末にしないで最後まで食べようというところにつながっていければと思います。

食育方針の3つ目の「マナーよく」は、ともすると「たのしく」食べることと相反してバランスを取ることが難しい面があります。

ですが、私たち大人がきちんとマナーを守りながら食事をする姿を見せ、食べこぼしは大人が常に気をつけてその都度片付けて、子どもたちへの言葉かけを適切にしていくことで、幼児期なりの無理のないマナーを身につけていってほしいと思っています。

11月には給食参観もありますので、親子でぜひ、園の給食を楽しく味わってみてください。

豊かで便利な食生活になった反面、食べ物がおろそかにされたり、家族だんらんの楽しいはずの食卓が家族ばらばらのさびしい食卓になったりと子どもたちを囲む食の環境は別の面で貧しくなりかねない時代です。

ご家庭でもぜひ「おいしく、たのしく、マナーよく」を参考にしていただき、手をたずさえて、よりよい子どもの食事を考えていきたいと思います。

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