子どもへのまなざし

県内、隣接市でも新型コロナウイルスの感染者が確認されて、子どもたちとの今まで通りの生活が出来なくなる日が来てしまうのではないかと、不安を抱えながらの日々が続いています。ご家庭でも不安な日々を過ごされているかと思います。先の見えないこの時期だからこそ、毎日のふれあいを大切にして、意識的にほっと一息つくようにしたいものです。

山陽小野田市でも4月21日から5月6日まで登園自粛をお願いする事となりました。お仕事等でなかなかお休みが取りにくい中、多くの方にご協力頂いており、感謝いたします。また急な連絡となりご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。

参観日や親子ふれあい会を中止としたことで子どもたちの生活の様子を知ることが出来なくなり、不安を抱かれる方も多いかと思います。日頃の送迎時などに保育園での生活の様子をお伝えするとともに、ご家庭での様子や心配なところなどを聞かせてもらうことで、少しずつでもお子さんの成長の様子を共有できればと思います。

先日、市からももぐみ、つきぐみ、ほしぐみの子どもたちに1人2枚の布製マスクが配布されました。保育園は「3つの密」が重なる場面が多いため、保育園にいる間はマスクを着用するようにお願いしています。

とある研究で『怒り・恐怖・悲しみは、顔の上半分(目・鼻・額)で判断されやすいのに対し、嫌悪・喜びは、顔の下半分(口・顎)から判断されやすい』とありました。マスクは特に顔の下半分を隠すため、怒り・恐怖・悲しみが伝わりやすくなるものです。

ただし、人と人との間のコミュニケーションは顔の表情だけでなく、声のトーンや声の大きさ、身振り手振りなども重要な要素です。マスクで表情が見えにくいからこそ、その他の部分に気を配っていきたいと思います。中でも「まなざし」に気を配りたいと思います。

佐々木正美さんの「子どもへのまなざし」という本の中にこのような内容がありました。

(子どもが振り返った際に)自分をみてくれる人が、いつもかならずいる場合と、たいていの場合、だれもいなかった経験を、度重ねて育った子どもとでは、人間的な感情の重要な部分の育ち方が、大きくちがってしまうということを詳細に観察した人がいます。

みたこともないようなことに出会うと、「おやっ」と思ったり、「ぎょっ」としたりするわけです。それらのすべてが、ときには不安、おそれ、とまどいであり、好奇心や喜びの対象です。そんな場面にでくわすと、子どもは必ず振り返ります。自分を見守ってくれている人の視線を期待しているのです。

マスクで表情がわからなくても子どもたちが振り返ったときに、「見守られている」という経験を積み重ね、安心感を感じてまた遊び始められるような存在でありたいと思います。

大人の「まなざし」からも子どもたちは多くのことを感じ取ってくれるものだと思っています。